「ネントレ」とは?‐ホントのところ

「ネントレ」とは、ねんねトレーニングの略。

一般的に、「子供が自分の力で眠りにつけるようにして、一人で寝られるように練習すること」です。

日本ではあまり知られていないため誤解も多いようです。

そもそも欧米では、昔から「子供を1人でベッドに入れ、泣いても絶対にそばにはいかず、朝まで放っておく」という寝かしつけの方法が行われていました。この方法には一定のメリットもあり、この時代には子供の夜泣きの問題はほとんどなかったとも言われています。

しかし、この方法では赤ちゃんが本当に助けを必要としている時に気づくことができません。

また、親が「生活することだけで精一杯」であった時代であればともかく、現代の普通の親が泣き続ける我が子に無反応でいることは難しく、とても残酷な仕打ちをしているように感じてしまうでしょう。

そこで、「子どもが一人で眠りに入れる」ように練習させるためのネントレの改良版、つまり色々なバリエーションが登場することになります。

そのひとつが、このサイトでご紹介する「ファーバー式」と呼ばれるものです。「一定の時間を置いて子供の所に戻り、様子を確認して慰める」という手順を加えた、よりマイルドなネントレです。(「ファーバー式ネントレとは?」より)

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子供を別室に一人で寝かせ、泣いても放っておく残酷な方法?

ネントレについて興味があっても、「一人で寝かせるのはかわいそう」だし、「泣かせて放っておくのは残酷」と感じて実行を躊躇している方も多いのではないでしょうか?

確かに、ネントレは荒療治に見えますし、たとえ短時間でも泣かせることの是非は欧米でも常に論争の的になっています。

結論から言うと、睡眠の専門家の見解は、「長期的な影響については未解明の部分も多く、これからの研究を待つ部分も多い」ということです。しかし同時に、「早くから親が知識を持って何らかの対策を行うことは有効」という見解も示しています。(下記参照)。

ここで、ネントレの是非を議論する前提として知って頂きたい点があります。

まず、ネントレはいわば非常手段であること。親が睡眠の正しい知識を持ち、規則正しい生活や睡眠リズムのための努力を尽くすことが大前提で、その時点で正しい睡眠の習慣ができればネントレの必要は全くないことです(「子どもと大人の睡眠の違い」・「月齢別アドバイス」他参照)。

また、短期間(大概は3日間くらい)必要最低限泣かせはするが、成功すれば効果は絶大で、その効果は長期にわたること、です。

親が必要な努力を尽くしても、「親子共々慢性的な睡眠不足」であるなど明らかに睡眠に問題があれば、そこで初めてネントレを考えます(適応月齢は6カ月~)。その場合も、ネントレが子どもにとって適切な方法であるかどうかは個々に親が慎重に吟味する必要があります。 (「批判や心配な点-ネントレは残酷な方法か」より)

親がここまで努力を重ねても睡眠の問題が改善せず、ネントレをすると決めたならば、一定の覚悟があるでしょう。その場合は、自信を持って一貫性のある断固とした態度でネントレすることが成功の秘訣です。(どの方法をとるにせよ、一貫してその方法をやり遂げることが大事である、というのは度々指摘される所です。→The New York Times “For Getting Baby to Sleep, Sticking to a Plan Is What Counts” 参照)

また、ファーバー式では、添い寝を否定していません。必ずしも別室に一人で寝かせなければならないわけではありません(劇的な効果があるのは一人寝ですが…)。添い寝でも可能ですし、他の場合も方法はあります。(「ネントレのヒント-添い寝の場合他」参照)

 

どういう場合ネントレした方がいいの??

まずは、子どもの睡眠について正しい知識を持ち、月齢別の正しい対処法・生活習慣を実践してみて下さい。(「子どもと大人の睡眠の違い」・「月齢別アドバイス」参照)これが大前提です。

それでも睡眠の悪い習慣が身についてしまってなかなか修正できない場合は、月齢6か月を過ぎたらネントレを考えてみて下さい。

ネントレの適応月齢は6カ月から。身についてしまった悪い習慣をリセットするためのいわば非常手段です。多少荒療治に思えるかもしれませんが、トレーニングの期間は一般的に3日間くらい。この短期間我慢してネントレに成功すれば、長期間続く劇的な効果を期待できます。

悪い睡眠の習慣は、その後の成長期はおろか後々までつきまとう厄介な問題となりえます。逆に、良い睡眠の習慣が子どもの心身の成長を助けることを考えると、数日間(大抵は3日間くらい)の親の我慢は、充分報われるといえるかもしれません。

睡眠を専門に研究する学者も、親が知識を持ち、早くから何らかの対処を行うことの効果を認めています。(下記参照)

しかし、注意しなければならないのは、ネントレは全ての睡眠に関するトラブルの解決策というわけではないことです。また、全ての子どもに合う方法というわけでもありません。自分の子どもに合う方法かどうかはそれぞれの親が個々に判断する必要があります。

下記はネントレが適応しない場合です。専門家の受診が望ましい場合もありますので、特にご注意下さい。

・ 月齢6か月未満の乳幼児
・ ベッドに1人で眠ることに対して恐怖感があったり、吐いてしまったりする場合
・ 恐怖感や呼吸の問題など、睡眠時の問題が他にある場合
Parenting Science “The Ferber method: An evidence-based guide to ‘cry it out’ sleep training” 参照)

[ポイント]
・ネントレの前に、まずは正しい睡眠の知識と規則正しい生活から←6か月を過ぎて、それでもダメならネントレを。
・泣かせるのは必要最低限←ネントレに要する期間は、一般的に3日間くらい。
・ネントレの長期的な効果や弊害については未解明な部分も多いが、早い時期から親が知識を持ち、何らかの対処を行う効果を、睡眠の研究者も認めている
・ネントレは常にベストの選択というわけではない←全ての睡眠の問題を解決するわけではなく、全ての子どもに合う方法でもない。自分の子どもに合う方法か良く検討してから実行を!

 

それでもネントレを迷う場合は??

上記の点を考慮してもネントレを行うかどうか迷った場合は、今一度、短期間子供を泣かせることと、ネントレで得られる効果とを天秤にかけて考えてみて下さい。

例えば、親子共に寝不足が長期間続いている場合。心身ともに限界に達している場合。効果が確実で早急な解決が必要です。

また、この先も睡眠不足によるストレスが続いて子供に手を挙げてしまうかもしれない危険・子供の睡眠リズムが整わず心身の成長に悪影響が出るリスク、を考えれば、ネントレすることの利益の方がはるかに高いと思います。

しかし、逆に、親子ともに安眠できていてストレスがなく、子供の睡眠リズムも整っているなら、無理してネントレする必要もありません。添い寝の時間を楽しみにしているならなおさらです。

寝かしつけの方法、育児の方法には子供の数だけ答えがあるので、何が正解ということではありません。どの方法が優れているということでもないと思います(もちろん、それとは別に睡眠学的に正しい・正しくないという事実はあります)。

是非、正しい知識を得た上で、お子さんの個性やご自身の感覚に従って決めて下さい。

ネントレをしなくても、「困った時はこんな方法もある」「睡眠は子供の成長に大事なものだ」ということを理解しておくことは無駄にはならないと思います。

なお、欧米では、近年添い寝の良さが理解されてきており、添い寝での寝かしつけが増えています。調査では、米国家庭の20%が添い寝で寝かしつけているそうです。

これは近年急激に浸透した“アタッチメントペアレンティング”という育児法の影響です。欧米ではネントレと対立する考え方という位置づけのようですが、日本人には比較的共感しやすい考え方だと思います。

興味のある方はこちらをご覧になってください(→シアーズ博士のアタッチメントペアレンティング)。

《参考》
・’Behavioral treatment of bedtime problems and night wakings in young children an American Academy of Sleep Medicine Review’, Sleep, 29:10(2006),1263-76→(http://www.journalsleep.org/CurrentIssue.aspx)