シアーズ博士のアタッチメントペアレンティング

ここ20年の米国のメインストリームです。ぴったりくる日本語がないですが、「ふれあい育児」とでも訳せるでしょうか。母子のスキンシップを重視し、母乳・添い寝・抱っこ(スリング等での)を提唱しています。

提唱する小児科医・シアーズ博士の育児書は、アメリカで育児書のバイブルとして広く読まれており、自身も著書の他に様々なメディアに登場しています。

シアーズ博士は母子の強い絆を勧めます。赤ちゃんが母親の腕の中で過ごす時間が長ければ長いほど子供の成長にとってよいということです。その為に推奨するのが母乳・添い寝・抱っこ(スリング)です。

スリングで常に母子が密着することを良しとする基本的な考え方は、本で知った南アメリカのジャングルに住む先住民の習慣からきているそうです。
常にスリングで母親に抱っこされている子供はあまり泣かずに、よく親の言う事をきく。対して欧米の子供は、泣いても泣き疲れてあきらめるまで放っておかれ、親の言う事をきかない子供も多い。どちらが優れた方法か?
という問題意識がシアーズ博士のアタッチメントペアレンティングの原点だそうです。

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ここ20年、米国でアタッチメントペアレンティングが一気に支持を得、広まったのは、オーガニック自然志向の高まりとうまく呼応したことも一因です。また、母乳育児母子の絆など、良いものを再評価し広めたのはシアーズ博士の功績と言われています。実際、別室のベビーベッドに子供を寝かせるスタイルが一般的だった米国で、今では20%程の親子が添い寝で寝ているそうです。

短時間でも泣かせることは子供の脳にダメージを引き起こすという見解で、ファーバー式を始めとするCIO(=泣かせるネントレ)を激しく批判しています。
添い寝が基本の日本では抵抗感もあまりなく、すんなり受け入れやすい方法論と思われます。
また、日本でもミルクから母乳重視へ、またスリングの流行という状況の変化が起こったのはアタッチメントペアレンティングの影響でもあります。

ただし、欧米の伝統的な育児法と真逆のこの方法に対して、当初から根強い批判もあります。主に時間や人手の限られた母親、特に仕事を持っていたり複数の子供のいる母親にとっては難しい面もあるようです。
特に最近、一気に広まった後の一種揺り返しのような批判が欧米のメディアでも取り上げられました。(興味のある方はこちらへ→雑誌TIMEの記事です。)

<批判>

・添い寝によるSIDS(乳幼児突然死症候群)の危険
欧米人は体格の立派な方も多いので、赤ちゃんを押しつぶしてしまう危険(特にアルコールやドラッグの影響下で深刻な問題に)が指摘されています。日本人は比較的小柄なのでその心配は少ないでしょう。

・母親への要求度が高く、身体的・精神的に負担になること
常に母と子の密着を要求するため、母親が疲弊してしまったり、自分の時間があまりとれずにストレスを感じる人もいます。特に、複数の子供がいたり母親が仕事をもっている場合、手伝ってくれる家族等がいないと育児が難しいという批判があります。また、子供が泣いた時もすぐに応えないといけないことが、なかなか思うようにいかない母親を追い詰める時があります。

また、アタッチメントペアレンティングは母親の時間と労力を要し、仕事はせずに家に入ることをよしとします。これは女性にとって良いことか?という議論もあります。

≪参考文献≫
・シアーズ博士夫妻のベビースリープブック

・シアーズ博士夫妻のベビーブック